アマゾン熱帯林破壊について<現状と原因を簡単解説>
前回、森林破壊の問題について、わかりやすいようにまとめた簡単解説記事を出しました。
今回はその森林破壊が大きな問題となっているある地域についてまとめてみようと思います。
森林破壊の被害が最も出ているところはどこなのか?
この記事を読んでくれているあなたもきっとご存知でしょう。
それはアマゾン熱帯林です。
近年アマゾンの熱帯林は著しい速さで森林が減少し続けています。
アマゾン熱帯林で森林破壊が進んでいる理由やその規模について、
僕が情報を入れて勉強したものをこの場で発信して、
共有することで多くの方に知ってもらえたらなと思い、
簡単にわかりやすいように記事にしてまとめました。
アマゾン熱帯林の森林破壊について、被害が大きくて問題になっているのは知っているけど、あまり詳しくないなという方是非読んで、現状を理解してもらえたらなと思います。
よろしくお願いします。
アマゾン熱帯林の森林破壊の現状
世界最大の熱帯林であるアマゾン熱帯林は、およそ550万㎢にもおよぶ面積を占めており、世界の熱帯林の総面積のおよそ半分ほどを占める広大な森林です。
このアマゾン熱帯林は言わずと知れた地球上で最も生物の多様性が富んだ場所でもあります。
地球上に存在する種の4分の1が生息しているといわれていて、アマゾン熱帯林でしか生息していない固有種も数多く存在しています。
そのアマゾンの熱帯林が著しい速度で減少を続けているのです。
すでにアマゾン熱帯林は元々の面積の15%ほどを失ったといわれています。
アマゾン熱帯林の大部分があるブラジルではどれくらいの熱帯林が失われているのか、しっかりと数字が出されています。下記が特定非営利活動法人熱帯森林保護団体(RFJ)のホームページにおいて紹介されていた記述になります。
観測衛星を使った「アマゾン森林伐採衛星監視プロジェクト」を実施するブラジル国立宇宙研究所の報告によれば、1988年に観測が始まって以降のブラジルのアマゾン森林累計消失面積は、日本の国土面積の1.1倍に相当する42万㎢、消失率は8.4%に達しました(〜2018年)。
ブラジルにあるアマゾンの熱帯林は、過去50年でおよそ2割が失われたというのですが、今後さらに森林破壊が進み、2050年にはアマゾンの熱帯林の4割が失われることになるという予測もされています。
アマゾン熱帯林の森林破壊がそのような状況にある中、今年2021年も、2021年前半にアマゾン熱帯林で発生した森林破壊は昨年2020年前半と比べて17パーセント増加しているとする数値が出るなど、その状況はなお悪化しています。
そして、既にアマゾンの熱帯林は二酸化炭素排出量が吸収量を上回ってしまっています。
今年、イギリスの科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジは、アマゾン熱帯林による過去10年間の二酸化炭素排出量が、吸収量を20%近く上回ったとする研究論文を発表しました。アマゾン川流域の森林が成長に伴い吸収する二酸化炭素排出量と、森林伐採や火災、野焼きなどにより大気中に放出されたそれとを分析して、排出される二酸化炭素の方が吸収されるものよりも量が多かったと結論づけています。
アマゾン熱帯林減少の要因
アマゾン熱帯林で森林破壊が進む理由、
それは農業や商業利用のための大規模な開発です。
アマゾン熱帯林のあるブラジルでは1970年代以降、大規模な開発を進めてきました。
それに伴って、アマゾン熱帯林が大きく失われはじめ、現在まで減り続けているのです。
1970年代ブラジル政府は、経済発展を進めるため未開発地域であったアマゾン熱帯林の開発に力を入れました。道路を建設し、広範な範囲にわたる農地を切り開いていきました。ほかにも、巨大水力発電所の建設や金鉱山開発などの鉱山事業が国家によって推進されてきました。
この中でも特にアマゾン熱帯林の開発を進めたのが、大豆栽培です。
1990年代以降アマゾン熱帯林は、輸出用大豆栽培のための大規模な農地へと次々と姿を変えていきました。
大豆栽培用農地の開発が進んだのは、アマゾン南側のセラード地域において1970年代後半から始まった大豆栽培の開発事業が成功と評価されたことによります。
「セラード」という言葉は聞いたことありますか。
「セラード」はブラジル中西部に広がる熱帯サバンナ地帯です。
このセラードはかつて不毛の大地と呼ばれていて、作物の栽培に適さないとされていた土地でした。強酸性の赤い色をした土壌で、樹木や草がまばらに生えている、そんな土地でした。
このセラードの開発事業が国家プロジェクトによって推し進められました。
この事業に多大な貢献を果たしたのが、日本です。
日本政府によるODAの開発援助が、1977年から1999年にかけて行われました。
JICAによるセラード開発「日伯セラード農業開発協力事業」が進められたのです。
この事業は不毛の大地と呼ばれたセラードを南半球最大の農業地帯に生まれ変わらせ、ブラジルを世界有数の大豆生産国に押し上げることになりました。
ブラジルの大豆生産量は右肩上がりで伸び続けています。
昨年2020年には、アメリカの年間生産量を上回り、世界最大の大豆生産国ともなりました。
その生産量は約1億1,700万トンにまで増加しています。
また生産面積は、およそ36万㎞²までになっています。
これはドイツの国土面積とほぼ同じ面積で、日本の国土面積とも同じくらいの広さです。
大豆畑をつくる以外にもアマゾン熱帯林の開発の原因はいくつかあります。
そのひとつは牛の牧畜です。
牛の牧場や牧草地をつくるための開発が進んでいます。
アマゾン熱帯林を開発してその地で飼育された牛は食用の牛肉として先進国へ輸出されています。ブラジルの肉牛生産は大豆生産と同様に著しい伸びを見せています。2018年には、164万トンの牛肉を輸出していて、世界第1位の牛肉輸出国ともなりました。
ちなみに大豆も換金作物として先進国に大量に輸出されていますが、大豆の使用用途は畜産の飼料が主になっています。つまり、畜産のためにアマゾン熱帯林は破壊されていっていると言っても過言ではありません。畜産の拡大、人間の肉食文化の増大、広まりがアマゾン熱帯林の森林破壊の原因となっているのです。
アマゾン熱帯林はバイオエタノールをつくるためにも開発されています。
バイオエタノールは生物資源を原料としてつくるエタノール燃料で、ガソリンに替わるエネルギーとして注目を浴びているものです。このバイオエタノールの主要生産国がブラジルです。アマゾン熱帯林が焼き払われ、バイオエタノールの原料となるサトウキビ畑やトウモロコシ畑がつくられているのです。
この他の開発の要因には、商業目的の違法伐採と鉱物を発掘するための開発があります。
アマゾン熱帯林で行われる商業伐採は、その8割以上が違法伐採です。
材木は国際的に需要があるもので、材木を供給するための違法伐採が後を絶たないのです。
鉱物を発掘するための開発も多く行われてきています。
アマゾン熱帯林地域には、アルミの原料となるボーキサイトや金といった鉱物が存在しています。
これらを採掘するためにも、熱帯林は壊されているのです。
さらに近年アマゾン熱帯林で被害が広がっているのが山火事です。
山火事によって森林が燃え上がって、アマゾン熱帯林が失われています。
山火事の原因は放火や焚火など様々ありますが、アマゾン熱帯林の山火事の主な原因が農地の拡大です。アマゾン熱帯林の山火事のほとんどは農地拡大のために森林を焼き払っていることによるもので、自然発火によって山火事が発生しているわけではありません。
この山火事が近年頻発に、そして大規模に発生するようになった理由が乾燥化です。
これまでの大規模な開発によるアマゾン熱帯林の破壊と減少によって、
アマゾン熱帯林は「砂漠化」が進んでいます。
先ほどここでも触れた、作物の栽培に適していないとされた地帯を大豆畑に変えたセラードの開発プロジェクトは大きな成果を出したわけですが、開発プロジェクトによる弊害は当然見逃すことはできません。そのうちのひとつは生態系への影響で、世界で最も豊かなサバンナ地帯ともいわれたセラードの生態系を壊すことになりました。
そして、ここで僕が言いたいことは水資源の枯渇です。
開発プロジェクトによって、その地の森林を切り開いたこともそうですが、大豆を育てるために川や地下水から大量の水をくみ上げることが必要になりました。
これが、アマゾンの乾燥化を進めた大きな原因のひとつでもあります。
これは牛の生産にも当てはまります。
畜産には大量の水が必要とされます。
牛の牧草地をつくるため、そして牛を育てるために大量の水が使われることになりました。
アマゾン熱帯林を切り開いて森林が失われたことも乾燥化に当然大きな影響を与えることになりますが、その切り開いた地で農業を進めたことで、乾燥化がより進んだといえます。
こうした理由などでアマゾン熱帯林の森林は破壊され乾燥化が進んだことで、火が燃え広がりやすくなりました。
乾燥化によってアマゾン熱帯林の森林は次々に火が燃え広がり、その被害は年々過去最悪を更新するような状況にあり、被害が拡大し続けています。
アマゾン熱帯林の森林破壊の今後についてですが、まだ良い見通しは立っていません。
ブラジルの現大統領のボルソナロ大統領は、今年2021年の気候変動サミットにおいて、「2030年までにアマゾンの違法な森林伐採をゼロにする」こと、「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」ことを表明しました。
しかし、ブラジルのアマゾン熱帯林の森林破壊はボルソナロ大統領の政権下で急速が悪化進んできました。
ボルソナロ大統領が経済発展のために、アマゾン熱帯林において農業や鉱業の経済活動を奨励し、開発を推進してきたからです。
今後当然ブラジル国内においても、森林破壊を防ぐための対策が行われていくことになるでしょうが、アマゾン熱帯林の山火事の増大やさらなる森林破壊について、国際社会からの視線も厳しくなってきています。国際的な動きや取り組みについても注目していくべき事項であります。
地球にとってとても貴重で大事な資源であるアマゾン熱帯林、
その状況が今後どうなっていくのか、
僕も少し気にかけて、ニュースを追っていきたいと思っていますし、
ここまで読んでいただいたあなたも、この問題に関心を持っていただけたら幸いに思います。
参考文献
特定非営利活動法人熱帯森林保護団体(RFJ)ホームページ https://rainforestjp.com/
朝日新聞デジタル 『「30年までにアマゾン違法伐採ゼロ」ブラジル大統領』2021年4月23日 https://www.asahi.com/articles/ASP4R2DV0P4QUHBI02P.html
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